ここで知った本を読みました、名著です。「翻訳」についてこんなに深く考えたことはなかったので、今後英語に接する上でも、貴重な体験をしました。翻訳とは元来文化を繋ぐ基礎であり、原著を学び日本語で伝えるのが翻訳者で、その全責任を追うということです。英文和訳とはまったく違い、また通訳ともまったく違います。翻訳は、日本語を書くという「もの書き」なのです。
ここまでは普通の読み方で、それだけでも素晴らしい本なのですが、特に第4章の「翻訳の市場」は素で泣けます。「翻訳」を「受託開発」や「ソフトウェア開発」で置き換えても、そのまま成り立つからです。名翻訳者でもなかなか生計を立てることが難しく、市場(いちば)がないため需給関係がうまく機能しないのだそうです。ごく少数の大家は営業しなくても付き合いのある編集者たちから依頼され、こなしきれないほど仕事をかかえている需要過剰がある一方(それでも大変裕福というわけではない)、学生アルバイトを使って安かろう悪かろうで粗悪品を乱造し、本当に翻訳家を目指す若者になかなか仕事が回らないという供給過剰がある、などなど、弁舌豊かに語ってくれます。
翻訳者は年に数冊しかこなせないので、市場シェアという概念がないというのは新しい視点でした。確かに、SIにも、大手はあっても、どこどこ会社が市場シェア何%でトップということは聞きません。だから、質を高め、信頼を重ね、高単価を維持していくのみのです。
さすがに綺麗な日本語で、視点も広く、辛口で、名著です。B5サイズで持ち運びに便利なので、ぜひ旅のお供にどうぞ。
3年以上前の日記にコメントさせていただきます。<br>山岡洋一氏の『翻訳とは何か』を最近読んで感動したひとりです。<br>中でも心に止まったのが、「学び、伝える」ことが翻訳の本質であるという趣旨のところ。まさにHYSPROさんが紹介されているところです。<br>52才のサラリーマンですが3年のうちには翻訳業に転じたいと思って勉強中です。<br>http://www.nobuotakahashi.com/