結構惹きこまれて読みました。面白かったです。amazon.co.jpにコメントがひとつもなかったので、投稿してみました:
中東における「欧米による間接的な植民地支配」という著者の視点が具体的に述べられている。間接的植民地支配とは、地域を小さな国家で分割し互いに争わせることで、それぞれの国が欧米の助けを必要とする状況を作り出すことである。それはめぐりめぐって欧米に利益をもたらし、また欧米に対抗できるような地域強国を育たせない戦略でもある。アメリカのこのような戦略は現代の中東情勢に顕著にあらわれるので、中東を観察することはアメリカを分析することに繋がる、と著者はいう。すなわち、アメリカ政府内での右派と中道派との激しい政争がみてとれる。
本書の章立ては、イラク問題、アメリカ政府、サウジアラビア、パレスチナと進む。様々なニュースソースや著者の中東訪問体験にそって、著者の視点が展開されていく。
このような著者の視点は、政治の真実の一面をついていると思う。歴史やニュースの見方が深まるので面白い。特に、アメリカ政府内での争いが興味深く、一読に値する。残念なのは、裏づけが少なく、著者の憶測の域を出ない点だ。話の展開も紀行文的で、やや散漫だ。そういう意味では論文までは昇華していないが、新書ということで読みやすく、政治の一面を眺めるのによい本だと思う。なお、著者の視点は広瀬隆氏のものに似ていると私は思う。